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【♪[Notes] from Gclef】vol.39 完璧な紅茶の淹れ方について

♪[Notes] from G clef ★━━━━━━━━━━━━━━━━★2003.7.23

Notes from G clef
A spoonful of fresh tea leaf brings you favourite time of relief.

http://www.gclef.co.jp/ ★━━━━━━━━━━━━━━━━★vol.039

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★目次★                          ☆彡
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1)英国王立化学会発表「完璧な紅茶の淹れ方」本文
2)英国王立化学会発表「完璧な紅茶の淹れ方」注釈
3)店長川崎の意見
4)購読中止、アドレス変更の仕方
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■去る6月25日、英国王立化学会から、完璧な紅茶の淹れ方が発表さ
れました。これは、紅茶を愛して止まなかったジョージオーウェルの生
誕百周年を記念して発表されたもので、アンドリュー・スタッフリー博
士によって考察されたものです。

■日本ではこの発表をうけ、「英国王立化学会が、おいしい紅茶はミル
クが先と発表した」と報じられました。確かに「紅茶が先か、ミルクが
先か」という問題は、英国人の紅茶好きを語るときに必ず話題にされて
きたテーマで、ここに着目するのは間違いではないでしょう。

■しかし、そのほかにもこの考察には、見所、突っ込みどころが多数あ
ります。私(川崎)の目から見ると、感心するところもあれば、疑問に思
うところもありますが、まずはその全文を、つたないながら日本語に訳
してみました。

■あらかじめ申し上げておきますと、この考察は本文だけ取り上げるよ
りも、注釈まできちんと読んでおいたほうがはるかに意味があります。
ですから、お急ぎの向きは、本文でなく、注釈だけ読んでくださいね。

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◆◆◆◆◆英国王立化学会発表「完璧な紅茶の淹れ方」本文◆◆◆◆◆
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■用意するもの
アッサムのルーズリーフ、軟水、よく冷えたミルク、白砂糖、

■使うもの
やかん、陶器のティーポット、大きな陶器のマグ、茶漉し、ティースプ
ーン、電子レンジ
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■飲みたい調度の量の軟水をやかんに汲み、沸かします。

■お湯が沸く間に、ティーポットに1/4程度の水を入れ、電子レンジに入
れて一分ほど過熱します。

■ちょうど、お湯が沸くときに電子レンジでの過熱が終わるようにします。

■カップ一杯につき、ティースプーン山盛り一杯の茶葉をポットに入れ、
ポットを沸騰中のやかんのそばまで持っていき、できるだけ熱いお湯に
注ぎ、かき混ぜます。

■3分間待ちます。

■器は、陶器のマグか、お気に入りの器を使います。

■まず器に最初にミルクを注ぎ、そしてあとから紅茶を注ぎ、美しく豊か
な色合いになるようにします。

■お好みで砂糖を加えます。

■60-65度の温度で飲みます。高すぎる温度で飲むと、音をたてて下品に
飲むはめになってしまいますからね。

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◆◆◆◆◆英国王立化学会発表「完璧な紅茶の淹れ方」注釈◆◆◆◆◆
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■沸かしたての新鮮なお湯を使います。何度も沸かしたお湯は、紅茶の
香りのために重要な、水中の酸素が飛んでしまいます。

■硬水は使わないようにしましょう。水中のミネラルが、風味をそこな
うアクの原因となります。硬水の地域にお住まいの場合は、浄水器を使
って硬度を落としましょう。同じ理由で、ボトル入りのミネラルウォー
ターは使わないようにしましょう。

■完璧を期すために、ルーズティーの使用をお勧めします。ポットは、
陶器製がよいでしょう。金属製のポットは、ときに紅茶の風味を損ない
ます。ティーバッグは便利ですが、抽出を遅らせ、高分子のタンニンの
抽出には不向きです。

■茶葉は、カップにつき、2gで充分です。あまりたくさん使う必要は
ありません。

■紅茶の抽出は出来る限り高い温度であることが必要です。このため、
前もってきちんとポットを過熱させることが必要です。少々のお湯を
通して、ポットを温めるだけでは不十分で、最低1/4ポットの熱湯をポ
ットの中で30秒以上沸騰させましょう。そして、すばやく電子レンジ
からポットを取り出し、中の熱湯を捨てて、茶葉をポットに入れ、や
かんから熱湯を注ぐのです。このための方法としてお勧めなのが、電
子レンジを使い、1/4ポットの水をポットに入れ、レンジで1分間過
熱することです。過熱しおわったちょうどのタイミングで、やかんの
中の水が沸騰するというのが理想的で、即座にポットをやかんのそば
に持っていき、熱湯を注ぐのです。こうすることで最大限高温を保つ
ことができます。

■一般的には抽出は3分から4分です。(紅茶によります。)長時間の
抽出はカフェインがたくさん抽出されるのでよくないというのは迷信
です。カフェインは比較的早く水に溶けるので、最初の一分もあれば
抽出されきってしまいます。しかし、ポリフェノール類の抽出にはよ
り長い時間が必要となります。ポリフェノール(タンニン)は、紅茶の
色と香りの一部分を担う大切な成分です。しかし、あまり長く抽出さ
せすぎると、今度は高分子の後味の悪いタンニンが抽出されてしまい
ます。

■器はお好みのものをお使いください。ただしポリスチレン(合成樹
脂)は避けましょう。すぐに飲むにはお茶が熱くなりすぎますし、ミ
ルクの風味も落とします。たくさん飲みたいときには、大きなマグ
カップは小さな器に比べて、温度をよりよく保ちます。

■ミルクはよく冷えた新鮮なものを加えましょう。高温殺菌牛乳は、
タンパク質が変質してしまっており、風味もよくありません。ミル
クは、紅茶よりも先に注ぎます。もし紅茶を先に注ぐと、紅茶の温
度が75℃よりも高い場合には、ミルクのタンパク質が変質し、風味
を損なってしまいます。ミルクを先に注いでおけば、注がれた紅茶
の液は即座に温度が下がるため、ミルクの変質を防ぐことができま
す。タンパク質の変質は、ミルクに熱湯を注いでも起きてしまいま
す。いちどミルクと紅茶を混ぜれば、ポリスチレンの器を使わない
限り温度は75℃を下回ります。

■砂糖は最後に加えましょう。砂糖、ミルクを加えるのは好みです
が、ともに紅茶の持つ刺激的な風味を緩和するはたらきがあります。

■飲用にもっとも適した温度は、60℃から65℃です。上記の方法で
抽出すれば、一分以内に適温を得られるでしょう。これ以上高い温
度で飲もうとすると、どうしても温度を下げるためにお茶をすすっ
てしまいがちです。待つかわりに、ティースプーンをカップに数秒
入れることでも温度を下げることができます。

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◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆店長川崎の意見◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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■さて、いかがでしたでしょうか。このメルマガを購読されている
方は、かなり紅茶に詳しい方が多いことでしょうから、既にこのペ
ーパーを読みこなしていて、自分なりの意見をお持ちの方もいらっ
しゃるかも知れません。

■とりわけ、「完璧な」なんて形容詞をつけられてしまうと、意地
でも一家言を披露したくなる向きもおいででしょう。かくいう私も
その一人です。というわけで、以下はこの考察に対する私の意見で
す。

■まず、硬水か、軟水かの問題。これは一概には結論づけにくく、
硬水に合う紅茶もあれば、軟水に合う紅茶もあるというのが実情だ
と思います。一般に軟水であればあるほど、香りが出るわりに味が
出にくく、硬水であればあるほど、味のわりに香りが出ないという
のが紅茶と水の硬度との関係です。ですが、香りを大切にしたいわ
れわれとしては、やはり軟水を押したいところですね。

■その意味、ボトル入りのミネラルウォーターを避けた方がよいと
いうのは、日本では通用しません。国産のミネラルウォーターのほ
とんどは紅茶がおいしく入ります。以前にも指摘したことがあるよ
うに、ボトル入りのミネラルウォーターは酸素が抜けてよくないと
いうのも間違いです。ちなみに、英国産の、ハイランドスプリング
ウォーターというミネラルウォーターも、紅茶に合う水のひとうで
す。

■電子レンジの使用については、驚きましたが、これはなかなか考
えましたね。確かに陶器のポットは、高温にするためには相当の湯
通しをする必要がありますので、電子レンジでポット内の水を沸騰
させてしまうというアイディアは、アリではないでしょうか。ジー
クレフでは、より早く高温に加熱でき、かつ保温性も高いという理
由で、耐熱ガラス性のポットを推奨していますが、どちらでもよい
でしょう。

■カフェインとポリフェノールの抽出については、スタッフリー博
士のおっしゃるとおりです。ついでにいうと、ポリフェノールの抽
出にはPhが関係していて、Phが低くなるほど、ポリフェノール
はよく抽出されます。そしてポリフェノールが抽出されると、より
Phが低くなるという循環現象が起こります。ポリフェノールは、
基本的に体によいので、長く抽出するのはよいことだと言ってよい
でしょう。

■あまり長く抽出させ過ぎると、後味の悪いタンニンが抽出されて
しまうというくだりがありましたが、これは紅茶の特徴でなく、ア
ッサムティに限った特徴です。確かにアッサムティについては、5
分以上の抽出を行うと、味がハードになり過ぎてしまうのですが、
ダージリン、ニルギリ、キームン、雲南、セイロンの各産地の紅茶
については、これは当てはまりません。長く抽出させても滑らかに
なるばかりです。もちろん鮮度の失われた茶葉についてはこの限り
ではありません。

■器にマグカップを推奨するのはいかがなものでしょうか。ふだん
紅茶を飲んでいて、マグカップを使うとどうも香りの立ちが悪く、
磁器にくらべ風味も鈍く感じられます。紅茶の風味は繊細なので、
とりわけストレートティーの場合には、薄手の磁器を使ったほうが
より味がよくわかると思います。ミルクティを前提に考えれば、マ
グで充分なんですけどね。

■「高温殺菌牛乳は使わないようにしましょう。」とあります。私
も賛成です。ただし注意が必要です。日本では、英国でいうところ
のミルクは低温殺菌牛乳と呼ばれており、日本でいうふつうの牛乳
は、英国では高温殺菌牛乳と呼ばれているのです。逆にいうと、日
本でふつうの牛乳を使ってしまうと、ミルクを先にカップに注ぐ意
味はまったくなくなってしまいます。とっくにたんぱく質は変質し
てしまっていますからね。

■飲用に適した温度は思ったより低いと感じられる向きも多いかも
しれません。しかし人間の舌は、温度により、甘味、酸味、苦味、
塩味を感じるバランスが、ダイナミックに変化していきます。です
から、注いだばかりの温度の高い紅茶では、甘味があまり感じられ
ないのです。このような理由で、高すぎる温度では紅茶の味をあま
すことなく感じることはできないのです。ちょうどおいしい温度で
楽しむのが、マナーにかなっているともいえるわけで、作法とはよ
く考えられているものと感心させられます。

■さて、私がスタッフリー博士とお話できる機会に恵まれるとすれ
ば、きっと伺うであろうことは、これでだいたい書き終えました。
博士の考察は、世界中の紅茶好きに、新たな話題を提供してくれま
したし、よりおいしく紅茶を楽しむために、大きな影響を与えてく
れました。

■けれども、「紅茶が先か、ミルクが先か」というテーマも含め、
紅茶の淹れ方、楽しみ方については、紅茶好きの間ではまだまだ統
一見解は出てきそうにないですね。とりわけ水の問題は難しく、紅
茶に最適な水を探し当てるには、まだまだ時間がかかりそうです。

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発行年月日 2003年7月23日
発行者 川崎武志

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